ラオスはベトナムと並ぶ社会主義国で、1975年に王制を打倒して以来、ラオス人民革命党の一党独裁が続いている。経済面では一党独裁下で改革・開放路線に基づいて市場経済化を進める新思考(チンタナカーン・マイ)政策によって、2020年までの最貧国からの脱却をめざしている。06年の第6回党大会で、革命第一世代として1992年から党のトップの座にあったカムタイ・パンドン議長が引退、後任に軍出身のチュンマリ・サイニャン副大統領が就任した。党大会後の国民議会で、ブアソン・ブッパワン首相を承認、大統領にチュンマリ副大統領が就任した。2010年にブアソン首相は辞任し、国民議会議長のトーンシン・タムマヴォンが新首相に就任した。11年の第9回党大会で、15年までの年8%以上の経済成長と1人当たりGDP1700ドルの達成が掲げられた。市場経済の導入と外資への門戸開放により国外からの投資が増え、11年の推計値では1人当たりGDPは1203ドル、成長率8.2%まで上昇した。経済発展の軸はメコン川流域開発であり、そのプロジェクトの一つとして06年にラオスとタイを結ぶ第2メコン国際架橋が完成した。12年にはサイヤブリ水力発電ダムの建設が始まるなど、開発が本格化し始めている。ダム建設には下流のカンボジアやベトナムから批判が出ていたが、めぼしい産業に乏しいラオスは水力発電で隣国タイなどに電力を供給する売電事業で外貨を獲得しようという戦略がある。