1988年9月のクーデターで誕生した軍事政権・国家法秩序回復評議会(SLORC)が、97年11月に名称変更したもので、実体はSLORCと変わりない。議長はタンシュエ上級大将(国防相兼国軍司令官)。90年の総選挙で民主化運動の指導者アウンサンスーチーらが率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したが政権移譲を拒否、NLDを中心とする民主化勢力を徹底的に弾圧することで権力を維持した。2008年5月、民政移管への一歩として新憲法の国民投票を実施、成立させたが、上下両院議席の4分の1を軍が指名する権限やアウンサンスーチーの国家指導者からの排除などを盛り込む内容となっている。10年11月に20年ぶりに行われた総選挙では、軍事政権の承継政党、連邦団結発展党(USDP)が圧勝した。11年2月に新議員による議会がテインセイン首相を大統領に選出したことで、軍政から民政への移行が完了した。しかし、軍の優位を規定する憲法の下で、親軍政党が圧倒的多数を占める新政権は形を変えた軍支配の継続ともみられる。