メコン川流域諸国による地域開発計画で、2002年に初の6カ国首脳会議が開催された。メコンはチベットに発し、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを経て南シナ海に注ぐ延長4350キロの国際河川。流域面積は79万5000平方キロ。国境を越えた交通・通信網の整備、貿易・投資の促進、観光開発などをめざし、アジア開発銀行(ADB)の主導で11のプロジェクトが計画されている。06年にタイ-ラオス国境に第2メコン橋が完成し、インドシナ半島を横断する約1500キロの国際道路「東西回廊」がつながった。中国からタイに通じる約2000キロの「南北回廊」も完成すれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内統合に弾みがつくと期待されている。だが、ダム開発では上流国と下流国が対立。ラオスは水力発電のため12年11月に新ダムの建設を始めたが、カンボジアやベトナムは反対している。日本は09年にタイなど5カ国と日本・メコン地域諸国首脳会議を開き、域内格差の是正と環境対策を柱とする計500億円の政府開発援助(ODA)の供与を盛り込んだ「東京宣言」を採択。12年4月の同首脳会議では15年までの新たな協力の指針として「東京戦略2012」を採択した。