2010年6月に発足したフィリピンの政権。10年5月に行われた大統領選挙でベニグノ・アキノ上院議員が当選、第15代の大統領に就任した。新大統領は、マルコス独裁体制を打倒した1986年2月の「ピープルパワー革命(2月革命)」で民主化の象徴とされた、コラソン・アキノ元大統領の長男で、初の母子二代にわたる大統領の誕生となった。大統領選はアロヨ大統領の任期満了にともない、初の電子投票システムを導入して実施された。01年に汚職疑惑で退陣したエストラダ元大統領や当初有力視されていたビリヤール上院議員が立候補したが、母親の清新なイメージを継いだアキノが勝利した。新大統領は就任演説で、アロヨ政権の汚職体質を徹底的に批判し、汚職や貧困の撲滅を優先課題にすると強調した。アロヨは大統領選の開票の不正操作や夫らの汚職の疑惑などもからみ、在任中の世論調査の支持率は30%台で推移し「史上最も不人気な大統領」といわれた。アキノは前政権の不正疑惑を調査する「真実委員会」の設置も発表した。アキノ大統領就任100日間の業績に対する世論調査では、国民の7割以上が「満足」と回答、順調な滑り出しとなっている。