2011年3月の民政移管によって大統領に就任したテインセイン元首相が率いる政権。軍政は10年11月に20年ぶりの総選挙を行い、軍事政権の承継政党、連邦団結発展党(USDP)が圧勝した。これを受け、11年1月に複数政党の新議員が参加する新議会が召集され、民政下の国家元首となる大統領に軍政序列4位のテインセインを選出した。新政権は、総選挙後に自宅軟禁から解放された民主化勢力指導者のアウンサンスーチーとの協力を確認、民主化への転換に乗り出した。彼女の率いる国民民主連盟(NLD)の政党参加を可能とする法改正やメディア規制の緩和、平和的デモ集会の容認などとともに、少数民族武装勢力への和平呼びかけを行った。一連の動きを評価してASEAN(東南アジア諸国連合)は14年のミャンマーの議長国就任を認め、アメリカは関係改善のためクリントン国務長官をミャンマーに派遣した。日本はODAの再開を表明した。12年1月には、民主化勢力が求めていた全政治囚651人が釈放された。しかし、民主化がどこまで進むのかは予断をゆるさない。現憲法は国会議員の4分の1は軍人枠と定め、非常時には国軍司令官が全権を掌握できるとしている。欧米諸国は経済制裁の解除は今後の進展をみながら決めるとの慎重姿勢を崩していない。