プレアビヒア寺院は、カンボジア北部のタイ国境にあるアンコール時代(802~1431)のヒンドゥー教寺院遺跡。寺院とその周辺地域の所属をめぐり、カンボジアとタイが争っていた。1962年に国際司法裁判所(ICJ)が寺院遺跡についてカンボジアの主権を認める判決を出した。タイは判決に不満を持ちながらも、受け入れた。しかし、カンボジア政府が2007年に寺院遺跡をふくむ係争地の高台一帯をユネスコの世界遺産に申請して承認されたことから、両国間の紛争が再燃。11年には、両国軍の武力衝突で兵士や住民に30人近くの死者まで出る深刻な事態になった。カンボジア政府は、遺跡を含む一帯の係争地の領有権がカンボジアにあることを確認するようICJに求めた。ICJは13年11月に寺院遺跡がある高台一帯はカンボジア領との判断を下し、紛争はひとまず鎮静化した。