インドネシア政府が首都ジャカルタ~バンドン間で計画している全長約140キロの高速鉄道建設事業。日本は「新幹線方式」の採用を官民一体で働きかけていたが、中国が猛烈な売り込み攻勢をかけ、インドネシア政府は2014年9月に「費用負担の少ない中速鉄道に計画を見直す」として両国案とも不採用の方針を表明。しかし、その直後に計画見直しを撤回して「中国の技術を導入する」と発表。日本の関係者から強い落胆の声が上がった。インドネシア政府は日本に特使を派遣して、「中国から政府の財政負担や債務保証を伴わずに事業を実施できる新たな提案があった」と説明したが、日本政府は「極めて遺憾」(菅官房長官)と不快感を表明した。中国案は、工期を日本より大幅に短縮することを約束するなど、融資面以外でも破格の条件を提示したという。中国案が計画通りに実施されるか疑う声も強いが、拡大するアジアのインフラ市場を巡って、日本のお家芸だった鉄道技術でも、中国がライバルとして台頭してきたことを印象付けた。