中国に投資してきた日本企業が、製造拠点を中国に集中するリスクを回避するために、東南アジアや南アジアなどの周辺諸国へ投資先を分散させている動きを指す。2000年以降、中国経済が二桁成長を続けた時期は、日中間が政治的に不安定になっても日本企業の対中投資ブームが続き、日中関係は「政冷経熱」と呼ばれた。しかし中国各地の大規模な反日デモや日本製品不買運動などの政治問題が企業活動に悪影響を与える状況が続いたことや、中国国内の人件費の高騰など生産コストの上昇もあり、新たな生産拠点を求める動きが始まった。新たな投資先としては中国周辺のベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーというASEAN諸国に加えて、バングラデシュ、スリランカなど南アジアを選ぶ企業も増えている。とはいえ、巨大市場でもある中国から完全に移転するわけにはいかず、「もう一つ別の国で追加投資して、集中のリスクを避ける」という選択になることから「チャイナプラスワン」という言葉が生まれた。