南アジア8カ国(アフガニスタン、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ)による地域協力機構。1985年12月、正式に発足した。事務局はネパール・カトマンズ(カトマンドゥ)に置かれ、首脳会議は年1回、外相理事会は年2回開くことになっている。しかし、印パ対立、参加国の政治不安などから、2012年までの27年間に開催は17回にとどまる。こうした域内関係の停滞のため、インドは対中国・ASEAN(東南アジア諸国連合)経済関係の緊密化を先行させてきたが、04年1月の第12回首脳会議(イスラマバード)では、南アジア自由貿易地域協定(SAFTA)、反テロリズム議定書などが締結され、南アジアの地域協力が前進する兆しが見え始めた。05年11月のダッカにおける第13回首脳会議では、アフガニスタンの加盟、中国と日本のオブザーバー参加が原則的に合意された。06年1月にはSAFTAが発効したが、インドなどは同時にASEANとの自由貿易協定により強い関心を示しており、域内貿易の比重が急速に高まることは期待できない。07年4月の第14回首脳会議(ニューデリー)でアフガニスタンが正式加盟し、参加国は8カ国となった。オブザーバーもその後、日本、中国、韓国、アメリカ、EU(欧州連合)、イラン、モーリシャス、ミャンマー、オーストラリアへと次第に拡大された。また近年の首脳会議では、加盟国間の交通、情報などの連結性の緊密化、テロ対策、食料・エネルギー問題、貿易などが重視されている。