1990年代に始まる経済自由化のもとで、地域格差の拡大が目立っている。主要州間の一人当たり州内生産(国のGDPに相当)格差は、最低のビハール州と首都のデリーをとると、93~94年度の1対6から、2004~05年度には1対9.43にまで拡大した。インド経済の地域格差は、もともとムンバイ(ボンベイ)、コルカタ(カルカッタ)、チェンナイ(マドラス)という3大港湾都市を核とする先進沿海部と後進内陸部という対比を見せていたが、1980年代以降の内陸デリー首都圏の工業化に伴い、デリー以西の西部州(グジャラート、マハーラーシュトラ)と南部州(タミル・ナードゥ、カルナータカ)が発展し、残された内陸と東部の諸州が立ち遅れるという構造になっている。経済自由化以降の国内外の投資もこうした構造を強化している。デリーと上記3大都市を結ぶ「黄金の四辺形(GQ)」と呼ばれる高速道路計画(全長5846キロ)が12年をかけて、12年1月に完成した。このなかでも、とくにデリーとムンバイ、さらにムンバイからプネーとバンガロールを経由してチェンナイを結ぶ高速道路沿いが、今後の投資活動が集中し、都市化が顕著に進む地域である。自動車保有台数も、上位4都市がデリー、バンガロール、ムンバイ、ハイダラーバードであり、旧来の大都市であるコルカタ、チェンナイが順位を落としている。プネーの保有台数の伸びも著しい。