インド外務省の推定では、全世界の在外インド人(日本では印僑とも呼ぶ)は2000万人にのぼる。この内の約5割の人々は、インドではなく、移住先の国籍を保持する狭義の「移民」(行政用語ではPIO ; People of Indian Origin)である。PIOは、移住先の社会においても、次第に強い社会的、政治的な影響力を発揮するようになってきている。2007年10月にはアメリカのルイジアナ州で初のPIO知事が誕生した。いっぽう、在外インド人(NRI)はしばしばPIOも含む意味で用いられるが、狭義のNRIは、インド国籍を持つ在外インド人とその配偶者らのみを意味する。インド政府はこれまでも在外インド人社会の財力に着目して優遇利子による外貨預金口座制度や、投資優遇措置などを実施してきた。また、1999年からは出入国の便宜を供与するPIOカード制度を導入し、2007年からは、二重国籍制度ではないが、選挙権を除けば、出入国はもとより経済活動全般についてインド国民と同等の権利をもつ「海外インド市民(OCI ; Overseas Citizen of India)」制度を導入した。また03年からは、マハトマ・ガンディーが南アフリカから帰国した日にちなんで、1月9日を「在外インド人の日」と定め、各種の行事が行われている。