2005年に統一進歩連合(UPA)政権によって制定された情報の開示や不服申し立ての手続きを定めた法律で、RTIと略称される。UPA政権は04年の発足直後に、会議派総裁ソニア・ガンディーを長とする国家諮問評議会(NAC)を発足させて政策立案を担わせ、そのなかでRTIの制定を優先的な課題として取りあげた。RTIの成立には、1970年代以降、「知る権利」をめぐる判例を積み重ねてきた司法府、さらに雇用対策事業や配給制度にまつわる汚職を告発して、行政の透明性を要求してきたNGOの活動による貢献が大きい。同法では連邦と州の政府機関のほか、政府補助金団体、裁判所まで幅広く情報開示の対象とし、文書・記録以外にも申請案件の処理状況、公共事業の実施状況なども開示の対象としている。政府機関は担当官を任命すること、期限内の未回答には罰金が科されることなども定められている。救済機関としては、連邦と各州に情報委員会が任命され準司法手続きにもとづく不服申し立ての審理が行われる。こうして同法の制定以降、全国では年間200万から300万件の請求が寄せられていると推定される。請求の多くは年金等の給付、各種申請の処理状況など個人の利益にかかわる事例が7割以上を占めるが、NGOやメディアによって汚職腐敗の摘発手段としても活用されている。また施行後約5年を経て、行政や政府の側からは開示の要件を厳密化して、開示請求の負担を回避しようとする動きも目立ってきている。