本来は、5(ヒンディー語でパーンチ)人からなる団体を意味し、村落や同族、あるいは同業者や宗教団体などの長老、有力者による自治合議体を指した。現在でもそのような用法はみられるが、通常は、1992年の第73次憲法改正によって各州が設置を義務づけられた、公選議員をもつ、主に農村部の地方自治体を意味する(都市部の最末端の自治体もパンチャーヤトと呼ばれる)。この憲法改正により、州内の県、郡、行政村の3段階のパンチャーヤトすべてにおいて、任期5年の議員が普通選挙で選任される。どの段階でも議員の3分の1は女性に留保される。各パンチャーヤトは保健、衛生、土木事業など域内の行政に関する権限をもつが、独自財源に乏しいため、州ないし連邦政府からの補助金の配分を主な機能としている。独自の職員をかかえるのは通常、県、郡までで、行政村では書記と警備員がおかれる程度である。どの段階でも条例制定機能は弱く、行政官に対する監督・統制機能もない。パンチャーヤト制度は地方自治制度としては改善の余地がおおきい。