労働党のヘレン・クラークを首相としたニュージーランドの前政権(1999年11月~2008年11月)。以前の政権までの市場原理主義的な行財政改革の行き過ぎの抑制と、社会資本の充実を約束し、公平性、機会均等、安心などの価値観を政策運営指針として掲げていた。円滑な成長達成のため経済に介入し、税率の再引き上げや労働組合再強化のための雇用関係法の改正や、一度売却された旧国営企業の再国有化を行った。これは、経済自由化・民営化・規制緩和による失業増加や雇用流動化によって、社会的格差と公共サービスの地域間格差の拡大を生んだ長年の行財政改革に対する、国民の生活不満の高まりへの対応であった。外交面では、01年の9.11テロ以後、島しょ国の国内紛争への介入に積極的になったが、対米協力には消極的。05年9月の総選挙では、労働党は第一党となったものの議席の過半数を獲得できず、労働党はニュージーランド第一主義党、革新党と連立内閣を形成し、少数政党の閣外協力を得てかろうじて政権を維持した。08年11月に行われた総選挙で労働党が敗北。9年ぶりに国民党に政権を譲って幕を閉じた。09年4月よりクラーク前首相は国連開発計画(UNDP)総裁に就任している。