ブーゲンビル島の住民は、ソロモン諸島の島民に文化的に近いメラネシア系だが、ブーゲンビル銅山・金山開発のために送られてきたニューギニア本島からの移住者との間に、土地および鉱山収入の配分をめぐる紛争が生じ、パプアニューギニアからの分離独立運動が始まった。1975年のパプアニューギニア独立時にも分離独立を主張した地域である。90年には、ブーゲンビル革命軍(BRA ; Bougainville Revolutionary Army)が組織され、「南太平洋ブーゲンビル島共和国」の独立が宣言された。95年の和平会議失敗の後、ニュージーランドの仲介で停戦協定が98年4月に締結され、ブーゲンビル島自治政府樹立が決められた。2005年5月にブーゲンビル州で自治選挙が行われ、6月に自治政府が発足した結果、10~15年以内に独立を問う住民投票が行われることになった。同年7月には革命軍の指導者であったF.オナが死亡。革命軍の活動は沈静化し、政情は安定化しているとはいえ、自治州の実効支配の及ばない地域もあり、不安は残っている。