ソロモン諸島ガダルカナル島の首都ホニアラには、独立後、職を求めて多数のマライタ島民が移住するようになり、1998年以降、ガダルカナル島南部でそれまでの島民との間に土地をめぐる民族紛争が激化してきた。しかし、太平洋諸島フォーラム(PIF)の決定に基づき、2003年7月にオーストラリアとニュージーランドが主導しPIF加盟国の警察・軍隊からなるソロモン地域支援ミッション(RAMSI)が派遣されて以降、治安が改善し、06年4月には4年ぶりの総選挙が実施された。総選挙の結果、スナイダ・リニが首相に就任したが、蔵相時代の台湾からの資金不正融資疑惑への国民の反発から、首都ホニアラで反首相暴動が発生した。経済力を拡大している台湾系および中国系住民への襲撃も起きたため、中国政府は中国系住民を国外に退避させた。この暴動で、オーストラリア国防軍を中心とするRAMSIが秩序維持のため増派された。リニ首相は辞任し、野党出身のソガバレ首相が誕生した後、秩序はとりあえず安定した。しかし、12年にはニュージーランド軍が撤退し、RAMSIの役割は暴動鎮圧・秩序維持からソロモン経済と社会の立て直しに力点が移っている。ソロモン経済もRAMSI展開の後、回復基調にある。10年8月に、国際選挙監視団の監視の下での総選挙で成立したフィリップ政権は、11年11月辞任し、リロ政権が誕生しているが、マライタ島民の間に独立の機運が育っているとの報告もある。