太平洋島しょ国の多くは、不安定な弱小国家だが、国連では1票を行使できるため、大国の政治的思惑に翻弄されやすい。近年は中国・台湾の外交合戦に巻き込まれている。中国は中国承認国を拡大しようとして、それを阻止しようとする台湾と対立している。台湾と外交関係のある太平洋島しょ国は、2008年1月現在ではソロモン諸島、パラオ、ツバル、マーシャル諸島、キリバス、ナウル。中国は台湾への対抗意識から、フィジーで06年4月に「中国・太平洋島しょ国経済発展協力フォーラム」を開催し、閣僚会議開幕式に出席した中国の温家宝首相は、太平洋諸島フォーラム(PIF)諸国に対して、3年間で420億円の援助を申し出た。島しょ国は援助を引き出すために台中外交関係変更をちらつかせ、両国からの援助合戦を期待している節がある。しかし、援助を受ける島しょ国では、台湾派と中国派に分かれて対立したり、経済力をもつ中国系移民への反感が強まるなど、新たな問題が生まれつつある。なお、中国に対抗して台湾も06年9月の「パラオ宣言」を採択した太平洋6カ国との首脳会談「台湾・太平洋友好国サミット」の第2回目を07年10月に開催し、台湾の国連加盟支持を訴えた。その後も台湾と中国による援助競争は続いており、11年4月にオーストラリアのローウィ研究所は、無償援助以外の借款が増大し、返済できなくなる島しょ国も出る危険があると警告している。12年も両国の援助合戦は継続している。なお、中国は12年には、日本の島サミット直前に第2回フォーラムを開催している。中国の経済援助(港湾整備含む)は海洋強国化を進める中国の戦略の一貫ではないかとの懸念も出ている。