近年、日豪関係の多様化・緊密化が進んでいる。2006年末には、日本とオーストラリアの間でEPA(経済連携協定)に関する政府間の交渉開始の合意がなされた。次いで07年3月には、安倍晋三首相とジョン・ハワード首相が東京で会談し、「安全保障に関する日豪共同宣言」に署名した。共同宣言はテロ対策や大量破壊兵器の不拡散、人道支援などを中心にしたもので、アメリカと日豪両国を含む3カ国の間の協力を促進するものである。共同宣言には中国やインドが懸念を表明している。なお、共同宣言署名後の07年6月から始まった外務・防衛閣僚協議(2プラス2)が、10年5月に日本で開催された際に、自衛隊とオーストラリア国防軍との間で燃料や食料、水、部品などを融通しあえるようにする「物品役務相互提供協定(ACSA)」が締結されている(13年1月批准)。また、12年5月の2プラス2では「情報の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」(日豪情報保護協定)に署名している(13年1月批准)。日本とオーストラリアとの関係は、安全保障関係の急速な緊密化、日米豪戦略対話の実施に示されるように、従来の貿易や経済中心の関係から政治安全保障面を含む新たな段階、「包括的な戦略的関係」に入った。こうした政治関係の発展の延長にオーストラリアによる東日本大震災の援助活動が迅速に実施された。13年の第5回日米豪閣僚戦略会議も開催されている。