オセアニアでは皮肉にも、フランスの海外領土である仏領ポリネシアやニューカレドニア、そしてニュージーランドと自由連合協定を結ぶクック諸島やアメリカ領土のハワイなどの、海外領土や独立国家ではない島しょ地域の生活水準が相対的に高い。そのため独立をめぐり、高い生活水準維持のため現状維持か、自由のために生活を犠牲にするかの選択を迫られた歴史がある。独立と非独立の中間に位置するのが自由連合国である。ミクロネシアのミクロネシア連邦とマーシャル諸島は1986年よりアメリカと自由連合協定(コンパクト)を締結している。ミクロネシア連邦は2002年11月、防衛・外交をアメリカに委ねる自由連合の継続を決め、アメリカの経済援助をその後20年間期待できる。マーシャル諸島は03年に継続を決めている。パラオは1986年に国民の合意が得られず自由連合協定の締結は93年になったが、同国も2009年に自由連合の維持を決めた。10年9月にアメリカ連邦議会は経済的自立への努力の強化を条件に、自由連合の継続を承認した。しかし、減りつつあるアメリカからの支援を補うため、パラオは中国との関係を強めている。コロールより遷都した新しい首都マルキョクの建設にも中国の援助を得ている。