アメリカのオバマ政権によるアジア重視戦略のもと、アジア太平洋地域で進む米海兵隊の再編計画の一環。2012年4月、オーストラリア北部のダーウィンに海兵隊駐留部隊の第1陣約200人が配備された。将来的には司令部機能を備え、沖縄に次ぐ前方展開拠点となる。沖縄から海兵隊が移転するグアム、ハワイも含めた4拠点を軸に、朝鮮半島危機から南シナ海の海洋安全保障まで対応する。アメリカ・オーストラリア両軍は自然災害時の援助でも協力するが、東南アジアへの玄関口であり、食料やエネルギーの重要なシーレーン(海上交通路)であるマラッカ海峡やインド洋に近いダーウィンで、海洋権益の拡大をめざす中国ににらみを利かせるのが両国の最大の目的である。オーストラリアは第一次世界大戦以降にアメリカが参加した戦争すべてに派兵している唯一の国で、アジア太平洋地域では米軍の駐留に好意的な数少ない同盟国である。沖縄からの海兵隊移転が本格化するのに合わせ、数年後には2500人規模に増やす。司令部から陸上・航空・後方支援部隊までを含む本格的な有事への即応部隊に整える計画である。オーストラリア国内では北部準州内の財界は駐留を歓迎しているが、緑の党は反対している。