現在までに知られているウランの70%はオーストラリアに埋蔵され、大陸南部のオリンピック・ダム鉱山が世界最大規模である。しかし、輸出量ではカナダが世界最大で、オーストラリアは、カザフスタンに次ぐ世界3位である。中国や日本、アメリカ、ロシアなどに輸出している。オーストラリア政府はインドが核拡散防止条約(NPT)に未加盟であることを理由に、インドへのウラン供給を拒否してきた。ギラード連邦首相は、2011年11月に首都キャンベラで記者会見し、原子力発電の燃料であるウランのインドに対する禁輸措置を解除すべきだとの見解を示し、その直後の労働党大会で禁輸措置が撤回された。ギラード首相は対印ウラン輸出解禁の理由として、(1)オーストラリア経済と雇用への効果の期待、(2)地域経済で大きな役割を果たすインドとの関係強化の必要性、(3)米印原子力協定発効による状況の変化、を挙げている。12年10月にニューデリーを訪問したギラード首相は、インドのシン首相と会談し、民生用原子力協定の締結に向けた交渉を両国が始めることで合意した。なお、それ以前の8月には、17年に原発の稼働を目指しているアラブ首長国連邦(UAE)が、オーストラリアと原子力の平和利用に関する協定に調印している。