2014年12月15日午前、シドニー中心地のマーチンプレース広場にあるリンツ・カフェで発生した事件。イスラム原理主義の司祭と名のるマン・ハロン・モニスが銃を持って店内に乱入し、店の顧客・従業員17人を人質に取り立てこもった。人質を使ってアッラーへの信仰告白を示す旗を掲げさせたため、過激派組織イスラム国(IS)メンバーによる犯行との報道も流れて国内外を騒然とさせた。しかしISとは関連がないことを確認した警察は、犯人の要求を無視し、事件は足踏み状態に入った。午後になると犯人の目をくぐった人質数人が脱出に成功し、彼らの話をもとに店内の様子が判明。現地時間16日午前2時過ぎ、警察機動部隊が突入して犯人を射殺、事件を収束した。この時の銃撃戦によって人質となっていた店長、および客の法廷弁護士の2人が流れ弾で死亡。他は全員救助された。事件後、マーチンプレース広場は追悼に訪れた人の供花で埋め尽くされ、国民全体による追悼へと拡大。「モニス容疑者はムスリム・コミュニティーの代表ではない」というムスリム・リーダーたちの必死の弁明も空しく、国民のイスラム嫌悪は強まった。