2017年12月7日、オーストラリア連邦議会下院において「同性結婚合法化法案」が可決されたことに基づく同性結婚の法的承認。同法案のもっとも重要な点は、同性結婚に異性結婚と同じ家族としての法的効力をもたせたことで、遺産相続や軍人遺族年金などで同等の扱いを受けられるようになる。先に連邦議会上院で可決され、下院でも反対がわずか4票と圧倒的多数が賛成。採決には賛成議員が与党側議席に歩いて移動する方法がとられたが、普段野党議員が座っている、議長席から見て左側の席がほとんど空になった。議長が法案可決を宣言すると、傍聴席から「I am Australian」の歌声がわき起こり、見上げる議員たちも唱和した。同法案をめぐっては13年前、ジョン・ハワード政権が婚姻法を改定し、同性結婚合法化を妨げる条文に変えた。その後、法文改定を廃棄する動議が出されるたびに否決された。マルコム・ターンブル首相はこうした状況を打開するために、オーストラリア統計局(ABS)を利用して有権者に対して同性結婚法案への賛否を問う郵送世論調査を17年9~11月に実施、有権者の多数(投票率79%)の支持(61.6%)を確認したので、17年12月に急遽法案を上下両院に上程し通過させた。同法案は連邦総督の裁可を受けて立法化され、18年1月より発効している。