2019年10月より執行される、ウルル登山の全面禁止。オーストラリア奥地にある巨大な砂岩の一枚岩山ウルル(かつてエアーズロックと呼ばれていた)は古くから地元先住民族の聖地であったが、1985年に長期貸借という形で国立公園局の管理下に移った。以来、アナングと呼ばれるウルルの伝統的所有者である先住民族グループは、観光客に先住民族の文化を尊重し、登山を自粛するよう求めてきた。しかし観光客のマナーは悪化し、ゴミや排泄物を放置する、裸になって写真を撮る、ふざけて転落事故を起こす、など聖地を汚す行為が目に余るとの抗議が何度も出された。そのため、2017年11月にウルルを所有する先住民族8人と政府当局者4人で構成されるウルル・カタ・ジュタ国立公園委員会が、全会一致で禁止を決定。アナングの長老で、国立公園委員会の委員長サミー・ウィルソン氏は、「ウルルは文化的に大きな意味があり、テーマパークではない。観光業界や政府にはウルルの公開を続けるべきだとの意見もあるが、彼らの法律はこの大地のものではない」と語っている。