ワン・ネイション党(ONP)とは、オーストラリアのポピュリズム(極右)政党。1996年3月の連邦総選挙で初当選したポーリン・ハンソン上院議員が当選の翌年に結党したもので、その主張は典型的なポピュリズム政党の政策を採用している。(白人)国民第一主義、経済自由化・規制緩和などに反対し、代わりに保護貿易主義と減税政策、福祉政策の復活を唱える。さらに、非白人でオーストラリア文化に同化しにくい移民・難民の受け入れ制限、先住民への手厚い福祉政策への反対、国連への拠出金に反対している。多文化主義に反対し、同化主義への回帰を訴え、法と秩序を重視し、徴兵制の復活を訴える。ハンソン党首は、54年にクイーンズランド州の州都ブリスベンで誕生。実家はフィッシュ&チップス店。政治の素人だったが、ワン・ネイション党は全国的には10%近く、クーンズランド州では23%近い支持を受けたこともある。2000年代初頭には影響力を失い、その後もハンソン議員は総選挙に出馬したが鳴かず飛ばずであった。しかし、9.11アメリカ同時多発テロ以後のテロ不安の時代になると、執拗に反ムスリム移民・反シャリア法を展開して徐々に人気を回復し、16年7月の総選挙では他の3候補者とともに連邦上院に返り咲いた。同氏は17年8月の議会中に、顔を隠すブルカを着て登院して騒動を引き起こしている。