アメリカでは、1950年代以降、死刑廃止運動が盛り上がり、60年代から70年代にかけて死刑執行が停止されたが、76年連邦最高裁判所が死刑を合憲と判断したのを受けて翌77年に死刑執行が再開された。死刑再開から2009年末までに全米で執行された計1190件の死刑の大半は致死薬注射による。1977年再開以来、年間処刑数は99年の98人をピークに漸減傾向にあり、2012年は43人だった。連邦最高裁は07年9月、致死薬注射による処刑は「残虐な刑罰」を禁じている憲法に違反するとの死刑囚2人の訴えを受理したが、08年4月合憲の判断を示した(連邦最高裁は05年3月、犯行時18歳未満だった少年の死刑を「残虐な刑罰」として違憲判決を下している)。13年5月、メリーランド州が全米で18番目の死刑廃止州となったが、連邦および50州中32州では死刑が存続している。世論調査では、死刑維持派が依然多数を占めている。