アフガニスタン戦争で米軍が拘束した国際テロ組織アルカイダの戦闘員やタリバン兵を収容するため2002年1月、アメリカがキューバから租借しているグアンタナモ海軍基地に開設されたテロ容疑者収容所。イラク戦争の拘束者も含め最多時に約750人が収容されていた。同収容所には、01年の同時多発テロ直後の11月に出された大統領令で対テロ戦争のために不可欠とした特別軍事法廷が設置されているが、連邦最高裁判所は06年6月、同法廷の設置は大統領権限を逸脱し憲法違反であり、テロ容疑者を同法廷で裁くことは「戦時捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約に違反する」との判断を示した。この状態を是正する特別軍事法廷設置法が成立、ブッシュ大統領(当時)が同年10月署名し発効した。上院議員として特別軍事法廷の存在を批判し、同収容所の閉鎖を公約してきたオバマ大統領は就任直後の09年1月22日、同収容所を1年以内に閉鎖し、テロ拘束者への拷問も禁止する大統領令に署名したが、期限内の閉鎖は実現しなかった。オバマ大統領は13年4月、収容所閉鎖の考えを改めて示した。グアンタナモ海軍基地は、キューバがアメリカから独立した直後の1903年に建設された。アメリカは34年にキューバと結んだ互恵通商条約を盾に永久租借権を主張、59年のキューバ革命後も保持している。