2001年9月の同時多発テロをきっかけに同年10月成立した包括的なテロ対策法。テロリストおよび支援者への罰則強化、テロリストの疑いのある外国人の司法手続きなしでの拘束、連邦捜査局(FBI ; Federal Bureau of Investigation)などによる盗聴の司法手続き簡略化、ネット監視権限の拡大、金融機関の口座管理強化の義務づけ、医療機関や図書館が保管する個人利用記録の提出命令などが盛り込まれている。運用をめぐり、テロ容疑者として拘束されたアラブ系住民に対する扱いなどで人権侵害との訴えが続出、盗聴、尾行など強引な捜査への反発も高まった。このため連邦議会では、同法の改正が審議されたが、4年間の時限措置で05年末に期限が切れる16条項の扱いについて紛糾。下院は16条項のうち批判の多い「盗聴条項」と「記録入手条項」の2条項を4年間延長し、残る14条項を恒久化する法案を可決したが、上院では再修正を求める民主党議員らが長時間演説による議事妨害(フィリバスター)で採決を阻止し、決着が長引いた。結局、上下両院を通過した改正法案は、ブッシュ大統領(当時)が06年3月、署名し成立した。即日発効した改正愛国者法には、時限措置の再延長・恒久化に加え、市民的自由を守る規定も盛り込まれた。