スペイン語を話す中南米諸国出身のアメリカ市民とその子孫のことで、白人や黒人も含んでおり、人種的な分類ではない。ラティーノ(ラテンアメリカ出身者)とも呼ばれる。ヒスパニックは2000年国勢調査で初めて黒人を超えてアメリカ最大のマイノリティー(少数民族集団)となった。10年国勢調査結果によると、ヒスパニックと回答した人が5048万人に達した。00年国勢調査の3531万人から10年間に約1500万人(43%)増え、20年前の1990年国勢調査と比べると2倍。ヒスパニック系は他の民族集団よりも速いスピードで増え続けており、67年当時、総人口の4%に過ぎなかったが、2000年国勢調査で初めて黒人人口を上回り、全人口に占める割合は12.5%に達した。10年国勢調査では、さらに16.3%に上昇した。ヒスパニック人口の急増は、合法、非合法の移民の流入(推定1100万人といわれる不法移民の大半はヒスパニック系とされる)と高い出生率に起因する。メキシコ系が3分の2を占め、プエルトリコ系が約1割、キューバ系などが続く。国勢調査局の推計では、中南米諸国出身のアメリカ市民は2050年までに人口比率でマジョリティー(多数派)になるとみられ、アメリカ人の3人に1人が中南米系になると予想されている。伝統的に民主党の支持基盤で、教育・社会保障の充実や銃規制に賛成するなどリベラル志向が強い半面、カトリック信者が多く妊娠中絶や同性結婚には反対する保守的な立場もとる。