マイノリティー(少数民族集団)への差別を積極的に是正する優遇措置。教育、雇用面の優遇措置ないしは特別枠の割り当て制度(quota system)を意味する。白人側から見れば逆差別と映り、カリフォルニア大学入学を拒否された白人学生による「黒人優遇入学制度は逆差別」との訴えをめぐり連邦最高裁判所は1978年6月、優遇措置を違憲と判断。80年代後半から優遇措置は「逆差別を助長」「機械的な割り当て」との批判が目立ち、裁判で争われるケースが増えた。90年代に入ると、優遇措置廃止を求める政治運動が全米に広がり、カリフォルニア州では96年の住民投票で廃止提案を可決後、98年7月廃止された。ワシントン、ネブラスカなど4州でも98年の住民投票で廃止提案が可決された。優遇制度の合憲性をめぐる論議が続く中で、ミシガン大学で入学を拒否された3人の白人学生が起こした訴訟をめぐりブッシュ大統領(当時)は2003年1月、黒人を優遇する入学者選考を違憲とする異例の意見書を連邦最高裁に提出した。連邦最高裁は同年6月、黒人を優遇する入学者選考を5対4で合憲とする判断を下し、合憲性論議に一応の決着をつけた。連邦最高裁は09年6月、コネティカット州ニューヘブン市の消防士昇任試験で、市側が黒人消防士を優遇したのは白人への逆差別との判決を下し、少数派優遇の行き過ぎに歯止めをかけた。その結果、同市消防局の採用する非白人の割合は激減したという。テキサス大学オースティン校を受験して不合格になった白人女性が、アファーマティブ・アクションにより締め出されたとして同大学を相手取り訴訟を起こし、1審、控訴審とも敗訴したが、連邦最高裁は13年6月24日、同校の入学選抜基準を合憲とした控訴審判決を無効とし、審理差し戻しを命じた。