2005年8月末にアメリカ南部を襲い史上最大級の被害をもたらした超大型ハリケーン。フロリダ半島に上陸後、メキシコ湾から北上してルイジアナ州に再上陸する寸前に、最大風速78メートル、最低気圧902ヘクトパスカルに発達し、気象当局は最強のカテゴリー5に指定した。直撃されたルイジアナ州では中心都市ニューオーリンズの8割が水没、市民48万人に避難勧告が出された。ミシシッピ、アラバマ両州でも大きな被害が出た。アメリカ緊急事態管理局などによると、死者1800人以上、被災者150万人以上、避難民80万人以上。被害総額は推定1300億ドル。メキシコ湾岸の油田地帯では原油生産が中断し、原油高に拍車をかけた。アフリカ系住民と貧困層に被害が集中し人種と貧困の問題が浮き彫りにされた。政府の対応の遅れと危機管理の不備に対し非難が噴出、ブッシュ大統領(当時)は国民の厳しい批判を浴びた。オバマ大統領は10年8月29日、5年前に大被害を受けた地の復興は進まず、ニューオーリンズの人口は避難民が戻らないため一時、25万人に半減したが、5年後に約35万人にまで回復した。12年10月29日には巨大ハリケーン「サンディ」がアメリカ東海岸を襲い、ニューヨーク市が大規模停電や交通マヒに見舞われるなどニューヨーク、ニュージャージー両州で大きな被害が出た。被害総額は推定800億ドルで、カトリーナに次いで史上2番目の規模。大統領選挙運動を中断して救援活動を陣頭指揮したオバマ大統領の対応を評価する回答が直後の世論調査で78%に達し、再選への追い風となった。