ブッシュ前政権は、イランが2015年までにヨーロッパ全域を射程に収める中・短距離ミサイルを開発、アメリカ本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術を獲得するとの情報機関の分析に基づき、こうしたイランの脅威から米欧を守るためミサイル防衛(MD)システムの東欧配備を計画していたが、オバマ大統領は09年9月、同計画の見直しを発表した。同年12月には、ポーランドとの間で国内に米軍を受け入れる地位協定に調印し、SM3地上配備型迎撃ミサイル配備に道を開いた。13年10月、ルーマニア南部のデベセル空軍基地でミサイル施設の建設に着手、15年に運用を開始する計画だ。18年にはポーランドなどに配備し、20年には、ヨーロッパ内に射程5500キロまでの大陸間弾道ミサイルに対応できるSM3を配備する。これに対し、ロシアは自国への脅威だとして猛反発し、11年12月、アメリカのMDヨーロッパ配備計画への対抗措置として、バルト海に面する飛び地カリーニングラード州で、半径6000キロの範囲でミサイルの発射を探知して追跡する性能を持つ最新型レーダーシステムを稼働させた。