アメリカ国民の肥満が深刻な社会問題になっており、個人の健康問題としてばかりでなく、経済を圧迫する要因ともなっている。世界保健機関(WHO)によると、肥満の指標であるBMI(体重を身長の二乗で割る数値)が30以上の肥満人口は、1995年から2000年の間に世界で2億人から3億人以上に増加し、そのうちアメリカの人口に占める成人肥満者の割合は30.5%だった。アメリカ疾病対策センター(CDC)が10年にアメリカの18歳以上の40万人を対象に行った聞き取り調査の結果、肥満の比率が約34%と3人に1人に達した。CDCが12年5月に開催した肥満に関するフォーラムでは、2030年までにアメリカ国民の42%が肥満になるとの見通しが示された。経済協力開発機構(OECD)は10年9月、先進国の肥満の現状と予防策の費用対効果について調べた初めての報告書を発表、加盟33カ国の成人人口に占める肥満の割合はアメリカが最多で、肥満に関係する病気の医療費が多くの国では全体の1~3%なのに対し、アメリカでは5~10%にのぼるという。アメリカ厚生省は04年7月、肥満を初めて「病気」と認定し肥満治療を高齢者医療保険(メディケア)の保険対象に加え、さらに05年1月アメリカ国民の肥満防止のための食生活ガイドラインを発表した。肥満は糖尿病や心疾患の温床となっており、糖尿病関連の医療費だけで年間約1500億ドルにのぼり、医療財政を圧迫している。