カナダの州政府は、連邦政府と同じように議院内閣制を採用しており、州議会で過半数を占める政党の党首がそのまま州行政の最高責任者たる州首相(Premierと呼ぶ)に就任する仕組みが作られている。女性として初めて州首相が生まれたのは、1991年4月、ブリティシュ・コロンビア州である。前任の州首相が辞任して半年ほど女性首相(R.ジョンストン)がこのポストについたが、10月の州総選挙で大敗した。93年に名実ともにカナダで最初の女性州首相となったのは、プリンス・エドワード島州(PEI)のキャサリン・コールバックだった。2011年には、州レベルにおいて女性首相が3人も誕生した。西海岸のブリティシュ・コロンビア州では、自由党政権を維持していた前任者のキャンベルが新税導入問題で引退を余儀なくされ、その後任の自由党党首としてクリスティ・クラーク(就任時46歳)が11年3月に州首相に就任した。すでにラジオ番組の司会などで人気を得ており、また州議員や教育大臣としてのキャリアがあった。隣のアルバータ州でも政権政党の党首引退に伴い、アリソン・レッドフォード(就任時46歳)が10月に州首相に就任した。アルバータは他の州と比べると、やや保守的な州とされるが、彼女は国際的な人権活動を行う弁護士として活躍してきたという実績を誇る。カナダ東部のニューファンドランド州でも4月に州政府の閣僚として実績のあったキャシー・ダンダーデール(就任時59歳)が、この州で初の女性州首相となった。なお、連邦首相としては、1993年にキム・キャンベル(就任時46歳)が女性で初めて就任した。