連邦レベルと州レベルの売り上げ税を統合した税制度。カナダでは州レベルでも連邦レベルでも、物品の購入時には売り上げ税が課せられている。連邦税はGST(商品・サービス税)と呼ばれ、物品価格の5%がかかり、これにプラスする形で州の売り上げ税(主にSales Taxと呼ばれる)がかかることになる。統合売り上げ税(HST)は、2つの売り上げ税を統合して1つにする試み。業者にとっては、これまで州政府と連邦政府それぞれに対して行っていた確定申告手続きが、1回で済むというメリットがある。連邦政府は州の売り上げ税を代行徴収し、後日、これを州政府に還付する。1997年に東部沿海部の3つの州(ノバスコシア、ニューブランズウィック、そしてニューファンドランド)において、HSTが導入され、2010年7月から、経済規模の大きいオンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア(BC)州もHSTを導入した。HSTによる効率化や競争力アップがこれを導入するメリットとなる。一方、有権者の合意を得ていないままHSTへの移行を断行したBC州では、反対運動が盛り上がり、導入を決めたキャンベル州首相は世論の批判を受けて辞任。その後、有権者の過半数を超える廃止意見によって、廃止することが決まった。州の売り上げ税で免税となっていた項目(レストランでの食事や航空券チケットなど)が、新HSTでは課税対象となることに対して反対意見が強い。