オバマ大統領は2011年5月1日、ホワイトハウスから緊急のテレビ演説を行い、国際テロ組織アルカイダの最高指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者をパキスタンで殺害したと発表、「正義はなされた」と宣言した。ビンラディンはパキスタンの首都イスラマバード近くの隠れ家に潜んでいるところを米海軍特殊部隊SEALS(シールズ)に襲撃された。ビンラディン殺害が報じられると、アメリカ各地で歓喜の声が上がり、ホワイトハウス前には深夜にもかかわらず大勢の人びとが集まり、「USA、USA」の大合唱が起きた。アメリカは9.11同時多発テロ以後、10年間にわたってビンラディンはパキスタンとアフガニスタン国境周辺に潜伏しているとみて執拗に追跡し続けていたが、連絡役の男の携帯電話の番号などを手掛かりに隠れ家を突き止めた。急襲作戦の訓練は11年2月に開始され、ビンラディンが潜んでいた隠れ家と同様の施設を建設し入念に行われた。実際の作戦は約40分間で終了したが、ホワイトハウスでその模様をリアルタイムで見守ったオバマ大統領は「人生最長の40分間だった」と述懐している。ビンラディン殺害は、オバマ政権がブッシュ前政権から引き継いだ「テロとの戦い」の最大の成果であり、事件後、オバマ大統領の支持率は急上昇した。