2011年9月17日、アメリカの「富の象徴」であり、20世紀の初めから世界の金融の中心として発展してきたニューヨークのウォール街で、自然発生的に集まった若者たちが「ウォール街を占拠せよ(オキュパイ・ウォールストリート)」を合言葉にデモ行進し、付近の公園で寝泊まりしたのが発端。「私たちは99%」というスローガンが示すように、アメリカの富をわずか1%の富裕層が独占している不公平に対する不満が、デモの原動力となった。アメリカにおける格差社会の深化は、全人口のうち最も裕福な1%の総所得が国民所得に占める割合が、1974年の9%から2007年には23.5%に増加したという経済学者の研究でも裏付けられている。デモの特徴は、(1)インターネット上の呼び掛けで参加者が自己増殖した、(2)リーダーがいない、(3)非暴力の抵抗運動である、など。ニューヨーク市当局は、当初はデモを静観していたが、周辺住民から苦情が出たため、開始から2カ月後の11月15日にニューヨーク市警が参加者を公園から強制排除した。