2011年、アメリカ南部を中心に猛威を振った竜巻は、年間1691件に達し、過去10年の年間平均発生件数の1200件を大幅に上回った。年間の死者数は550人にのぼり、アメリカ気象局の観測記録が残る1950年以降では、53年の519人を上回り史上最悪となった。とくに4月27~28日には約150件の竜巻が南部7州を襲い、340人を超える死者が出た。11年5月22日には中西部のミズーリ州ジョプリンで竜巻の大きさを測る6段階で最大規模とされる巨大竜巻が発生し、家屋約2000棟が損壊、少なくとも125人が死亡した。13年5月20日にはオクラホマ州ムーアなどで巨大竜巻により24人が死亡、300人以上が負傷、1万2000戸を超える家屋が損壊した。世界で発生する竜巻の約8割をアメリカが占め、地域的には「tornado alley(竜巻多発地帯)」と呼ばれるテキサス、オクラホマ、カンザス、ネブラスカの4州をはじめ南部と中西部に集中している。時期的には、カナダから南下した乾いた冷気とメキシコ湾から北上した湿った暖気がぶつかる4月から6月までに年間総数の55%が発生している。