アメリカの有人宇宙開発を支えてきたスペースシャトルが2011年7月、135回目の飛行を終え退役した。宇宙との間を何度も往復できる画期的な有人宇宙船スペースシャトルは、アポロ計画に続くプロジェクトとしてアメリカが威信をかけて推進し、1981年4月「コロンビア」が初飛行に成功して以来、計5機が就航した。一度に7人の飛行士と大型貨物を運べる特徴を生かし、国際宇宙ステーション(ISS)建設で大活躍したが、機体の老朽化に加え、打ち上げ費用や維持管理費用の増大などの理由から引退を余儀なくされた。「チャレンジャー」(86年)、「コロンビア」(2003年)の2度にわたる事故で14人の飛行士を失い、事故後に安全対策の費用がかさみ、打ち上げ1回当たりの費用は当初見込みの5000万ドルの20倍近い約10億ドルに膨らんだことが誤算だった。1機当たり100回の飛行を想定して製造された5機のうち事故で2機を失い、「ディスカバリー」の39回が最多飛行で、目標に遠く及ばなかった。しかし、30年間に16カ国の356人をのべ848回宇宙に送り、日本人飛行士にも宇宙への道を開き、7人がのべ12回搭乗した。最終便となった「アトランティス」は、アポロ11号で人類が月面に降り立った1969年7月20日からちょうど42年後の同じ日に地球に帰還した。