イランに対する経済制裁は1995年にクリントン政権によって発動された(米企業に対イラン全面禁輸を求める大統領令)。翌96年には、イランとリビアの石油・ガス資源開発に年間4000万ドル以上投資した外国企業を制裁する対イラン・リビア制裁法が成立、ブッシュ政権下の2001年と06年に更新された(関係を修復したリビアへの制裁は解除)。核開発をなおも進めるイランに対する制裁措置はオバマ政権に引き継がれた。10年7月1日、イランの金融・エネルギー部門と取引する企業への制裁強化を柱とする対イラン制裁法が成立した。イラン側がホルムズ海峡の封鎖をほのめかしたのに対し、11年12月31日、アメリカの金融機関がイラン中央銀行と取引のある外国金融機関のドル決済を禁止する対イラン制裁法が成立した。オバマ政権は12年に入ると、対イラン制裁をさらに強め、アメリカ国内に存在するイラン政府およびイランの金融機関の資産を凍結する大統領令(2月5日)、イランの原油輸出に加担する外国金融機関に制裁を加える大統領令(7月31日)を発した。アメリカ国務省は10月1日、対イラン制裁は「イラン経済により深く食い込んでいる」と指摘するとともに、イランに対し核開発を止めるよう求めた。アメリカ上院は11月30日の本会議で、エネルギー、港湾、運輸、造船各分野でイランとの取引を禁止する制裁強化条項を盛り込んだ13会計年度(12年10月~13年9月)の国防権限法の修正案を全会一致で可決した。