広大な国土を持つカナダにとって、交通機関の発展は大きな意味を持ってきた。1885年には大陸横断鉄道が完成したが、航空ネットワークは1930年代に入り、本格的に整備されてきた。37年には、国有鉄道のカナダ国鉄(CN)が、Trans-Canada Air Lines(TCA)を設立。また41年には、民間鉄道会社のトップであるカナダ太平洋鉄道(CPR)がCanadian Pacific Airlines(CPA)を設立した。TCAは国営の航空会社としてカナダ国内やヨーロッパ方面で路線を確立したが、64年にエア・カナダと名称を変更している。他方、CPAはアジア・太平洋方面で路線を確立し、68年にはCP Airと改称している。2つの有力航空会社はライバルとして激しい競争を繰り返したが、2001年にCP Airがエア・カナダに吸収合併された。エア・カナダも経営不振が続き、04年には破産という事態を迎えたが、別の持株会社の設立により存続が図られた。現在、カナダの3都市(トロント、カルガリー、バンクーバー)を結ぶ直航便が成田国際空港から運航されている。スターアライアンスという航空会社連合に加盟し、全日本空輸(ANA)とのコードシェア便を運航している。