アメリカ国家安全保障局(NSA)の情報監視活動を内部告発し、アメリカ政府からスパイ活動などの容疑で訴追された中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者がかかわる事件。スノーデン容疑者は、契約職員としてNSAで働いていた時に収集した大量の機密文書を国外に持ち出した。2013年6月以降、同容疑者から文書を提供されたイギリスのガーディアン紙とアメリカのワシントン・ポスト紙などの報道で、NSAが秘密裏に行っていた情報収集活動が次々に暴露された。NSAが電話会社から提供されたアメリカ国民の通話記録を大量に収集・保管していること、インターネット上の個人情報を収集していることなどが発覚した。さらにドイツのメルケル首相ら外国首脳に対する盗聴疑惑が明らかになり、アメリカ政府は国内外の厳しい批判にさらされた。オバマ大統領は14年1月17日、NSAの情報収集に関する改革策を発表し「同盟国や友好国の指導者に対する盗聴をしない」と言明。プライバシー侵害との批判が強いアメリカ国内の電話通話記録の大量収集・保管については、政府外の機関に委ねて厳格なルールのもとで情報を利用する方針を明らかにした。スノーデン容疑者はロシアに一時亡命中だが、帰国すれば終身刑となる可能性が高い。