アメリカ国防総省の情報機関として1952年に創設されたが、99年までその存在は秘密にされてきた。メリーランド州フォートミード陸軍基地に本部がある。情報収集(諜報)には、人を介した「人的諜報」、衛星写真などを解析する「画像諜報」、電子機器を使った「信号諜報」があるが、NSAは通信傍受・盗聴・暗号解読などの「信号諜報」を担っている。世界各地に数千の傍受基地があり、世界で最も多くのコンピューターを備えた機関とされる。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国は、通信傍受システム「エシュロン(Echelon)」を共同運用し、在外公館や基地を拠点に収集した電話やファクス、電子メールなどの膨大な情報を共有している。5カ国が締結している情報交換協定の枠組みは通称「ファイブ・アイズ(Five Eyes ; 5つの目)」と呼ばれる。組織の実態は公表されていないが、職員は約3万5000人、年間予算は100億ドルともいわれる。