イラン大統領選挙で欧米との対話を訴えて圧勝した穏健保守派のロウハニ大統領の出現で、30年以上にわたって互いを敵視していたアメリカ・イラン関係が改善に踏み出した。2013年8月に就任したロウハニ大統領は、国連総会出席のためアメリカ滞在中の9月27日、オバマ大統領と電話で協議し、イランの核問題の早期解決を目指すことで合意した。1979年2月のイラン・イスラム革命で親米のパーレビ王制が打倒され、同年11月にテヘランのアメリカ大使館占拠人質事件が起こり、80年4月に国交を断絶して以来、両国首脳が言葉を直接交わすのは初めて。オバマ大統領は電話協議後、記者団に「核問題の進展は新しい両国関係にもつながり得る」と述べ、関係改善に意欲を示した。アメリカとイランとの関係は、97年に就任した改革派のハタミ大統領がアメリカとの関係修復を模索した。ところが2001年に就任したブッシュ大統領が02年1月に行った一般教書演説でイランを「悪の枢軸」と名指しで批判。同年8月にはイラン国内にウラン濃縮施設の存在が発覚し、両国関係は対立に逆戻りした。さらに05年に就任したアフマディネジャド大統領は、核開発を加速し、対アメリカ強硬路線をとったため両国関係は一段と悪化していた。