2014年10月20日、モントリオール郊外の町であるサンジャンサーリシュリューにおいて自動車を使い、警官や兵士を意図的に襲撃するという事件が発生した。二人の兵士がけがをし、うち53歳の兵士一人は死亡した。犯人は25歳のケベック人でイスラムに改宗した人物であった。警察当局は事件前に警戒し、国外へ出ないように犯人のパスポートを没収していたが、国際的なテロ組織とのつながりはないようであった。この事件から2日後となる10月22日、オタワ市内で類似した事件が発生した。オタワの中心地には第一次世界大戦で亡くなった無名兵士を祭る記念碑があり、これをいたずらなどから守るためにカナダ兵が配置されていた。ここで突然、猟銃を持った男が乱射し、兵士(伍長)一人が即死した。そのあと犯人は記念碑の近くにある国会議事堂まで進み、内部への侵入を試みている。しかし、議事堂警備にあたる連邦警察官による応戦の結果、犯人は射殺され、大きな被害はなく事件は終結した。カナダの国会議事堂は国民に開かれてきたという伝統もあり、カナダの治安の良さを示すシンボルでもあった。ここが凶悪な犯人の標的になったことでカナダに与えた影響は深刻なものであった。犯人はイスラムを信仰していたとされるが、背後には組織的なつながりはないようで、個人的な犯行とされる。今回の事件のように、組織的つながりのない単独犯によるテロ事件を予防することは容易ではなく、大きな課題が残った。