アメリカ中西部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人青年が2014年8月、白人警官に射殺された事件。警官は、青年が殴りかかって来て銃を奪おうとしたので発砲したとして正当防衛を主張、一方、青年は両手を上げて無抵抗だったとの目撃証言もあった。事件を審議した同州セントルイス郡の大陪審は11月、警官を不起訴処分にした。大陪審は人口比を反映して白人9人、黒人3人で審議したが、起訴に必要な9人の同意が得られなかったという。ファーガソンでは、警官不起訴に激怒して抗議デモを起こした黒人住民の一部が略奪や放火を行うなど暴動化し、多数の逮捕者が出る騒ぎに発展した。警官不起訴に抗議するデモは全米各地に拡大した。さらに同年12月、ニューヨーク市で黒人男性が白人警官に首を絞められる格好で取り押さえられ死亡した事件で、地元大陪審が警官を不起訴処分にしたことに抗議するデモが、全米各地で繰り広げられた。相次ぐ白人警官による黒人射殺事件と警官不起訴に抗議するデモ拡大の背景には、アメリカ社会が抱える人種差別の根深さがある。