アメリカの軍事・経済・外交政策を見直してアジア太平洋地域に軸足を移す方向を打ち出したオバマ政権の政策。オバマ大統領が2011年11月17日、オーストラリア連邦議会で行った演説で表明した。アジア太平洋地域で急速に台頭する中国を牽制(けんせい)するとともに、アジアへの輸出拡大を通じてアメリカ経済を回復させる狙いもある。オバマ大統領は就任した09年11月に東京で行った初のアジア政策演説以降、アジア重視の姿勢を重ねて表明、12年11月、カンボジアで開かれた東アジアサミットに合わせてタイとミャンマーを歴訪し、東南アジア諸国連合(ASEAN) との関係強化をアピールした。しかし、オバマ大統領が「アラブの春」で激変する中東情勢や、ロシアのクリミア半島編入で一気に緊迫したウクライナ情勢などへの対応に追われる中で、アジア太平洋諸国の間からリバランス政策の形骸化を懸念する声も出てきた。これに対しオバマ大統領は14年4月、アジア太平洋地域を再訪し、フィリピンでの米軍再駐留に道を開く米比軍事協定に調印。さらに同年11月にはアジア太平洋3カ国を歴訪し、オーストラリアのブリスベン大学での演説でオバマ外交の基軸をリバランス政策に据える方針を改めて強調した。