トランプ大統領は就任早々、選挙公約の有言実行をめざす大統領令に矢継ぎ早に署名した。主な大統領令には「メキシコからの不法移民流入を防ぐための壁の構築」「カナダから原油を運ぶパイプラインの建設」「人工妊娠中絶を支援する非政府組織(NGO)への補助金支出の禁止」「不法移民の強制送還に非協力的な自治体への補助金停止」「政府機関の新規人員採用の凍結」「入国審査の厳格化と120日間の難民受け入れ停止」などが含まれる。オバマ前政権の遺産である医療保険制度改革(オバマケア)を見直し、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱にも踏み切った。新政権の顔ぶれは、デボス教育長官やロス商務長官のような大富豪、コーン国家経済会議(NEC)委員長、ムニューチン財務長官のような金融大手ゴールドマン・サックス(GS)出身者、元中央軍司令官(元海兵隊大将)のマティス国防長官、元陸軍中将のフリン国家安全保障担当大統領補佐官らの軍人といったように、大富豪、GS出身者、軍人の起用が目立つ。選挙参謀のバノン氏は大統領上級顧問兼首席戦略官に、対中強硬派のナバロ氏は新設の国家通商会議議長にそれぞれ就任した。娘婿(長女イバンカさんの夫)の実業家、クシュナー氏が大統領上級顧問に重用され、トランプ政権のカギを握る存在に浮上した。このうちフリン補佐官は17年2月に辞任、後任にはマクマスター陸軍中将が起用された。