LGBT(性的少数者)差別を容認する動きが顕在化する中で注目されたのはノースカロライナ州で2016年3月に制定された州法(通称・トイレ法)。LGBTに出生証明書と同じ性別のトイレを使うよう求めるもので、マクローリー同州知事は「基本的なプライバシーとエチケットを守るために必要」と主張した。これに対しオバマ大統領がLGBTに対する差別であると批判、連邦政府も同州に対し「教育における性差別を禁じた公民権法に抵触する」と通告し、改正しない場合には教育関連の補助金カットに言及した。しかし、州側も譲らず、連邦政府と州が法律の有効性を巡って互いに提訴する事態に発展した。ノースカロライナ州を含む計13州がトイレ法と同様の法律を検討したが、成立したのはノースカロライナ州のみ。トイレ法を阻止するためオバマ政権はさらに同年5月、本人が望む性別のトイレの利用を求めるよう全国の公立学校区に通達を出したところノースカロライナ州ばかりでなくテキサス、アラバマなど11州も連邦政府を提訴し、LGBT差別問題が再燃・拡大した。トランプ政権は17年2月、オバマ前政権時代の通達を撤回した。