とりわけプーチン前政権成立以来のロシアが力を注いでいる、諸外国に対する活発な武器移転の動きを指す。兵器は、エネルギーとともに、ロシアにとり2大外貨獲得源である。プーチン政権が発足した2000年、ロシアの武器輸出はアメリカ・イギリス・フランスに次ぐ第4位だったが、07年にはアメリカに次いで第2位(70億ドル)となった。ロシア製兵器の主な輸出先は、中国とインド(合計約62%、06年)。だが、両国への輸出はそろそろ飽和点に達しつつある(合計約49%、07年)。たとえば中国に対しては、ロシアの安全保障に脅威を与えるかもしれない高性能の攻撃兵器・関連技術と兵器のライセンス生産の2分野を除いては、ほとんどの武器を売り尽くした。最近のロシアは、これら両国以外、たとえば東南アジア諸国、そしてアメリカ政権が「ならず者国家」と名付ける諸国に対してすらも、武器セールスの販路を広げようとしている。07年9月にはプーチン大統領自身がインドネシアを初訪問。総額10億ドルを超える武器商談をまとめた。これは、東ティモールでのインドネシア軍による人権侵害を理由に武器の禁輸措置を実施中のアメリカとの間にくさびを打ち込む動きにほかならない。また、アメリカに最近とみに敵対姿勢を示しつつあるベネズエラのチャベス政権に対してスホイ-30戦闘機を売却し、従来のアメリカ製のF-16戦闘機と取り換えさせようとしている。